前回、ほぼ全バラにして清掃をしたK240M。
清掃後に試聴した際、そのポテンシャルを発揮できていないと感じました。
最大の要因はハウジング内のスポンジを除去した事です。
本来の音を鳴らすためにスポンジを探してみます。
こんなマニアックなスポンジ売ってないのだろうな…と、思いながらサウンドハウスさんから見てみることにしました。
あ、コレだ、普通に売ってる。
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/181785/
スピード解決でした。
さすがサウンドハウスさんです。
1個入りとのことなので、2つ購入します。
ろろろろろ660円ッ!?
右と左の2枚で1320円。
送料無料にして2000円。
つまり、実質1枚1000円ですね。
正直言いますと、このK240Mを2台も買える値段です。
ジャンク品の商品代より、部品代が高くなるのは避けたいです。
なにか安い材料で代わりになる吸音材を探します。
考えた結果、カームフレックスというスポンジにしました。
このカームフレックスですが、自分の働いている会社でも取り扱いをしているので性質は分かります。
しかし、メーカーから取り寄せると使い切れないサイズを買わないといけないので、自力で用意します。
この用途なら一番安価なF-2で十分です。
さて、ハウジング内の測定を始めます。
深さは10mmでした。
では、厚さは10mm、内径45Φ、外径95Φのスポンジを作りましょう。
※Φは直径、単位はmmになります。
外径の実寸は96mmですが、プラスチックの厚みを考慮して1mm減らします。
ちょっと大きくてもスポンジなら何とかなります。
ウール系やフェルトでも良かったのですが、サイズに誤差があっても何とかなるスポンジをチョイスしました。
カームフレックスF-2の厚さ10mmで、一番サイズの小さいものを選びます。
どこも1m×1mで1000円くらいですね。
余った分は何かに使えるのでお得ですね!
…さすがにデカすぎでした。
スポンジの加工ですが、外側をチョキチョキとハサミで切ればよいのですが、中の円は上手く切れません。
ここは会社の職人さんに泣きつきましょう!
匠に技に頼るのです。
なんということでしょう。
オーダー通り、キレイに出来上がりました。
よさそうですね。
さっそく組み込んでみましょう!
ぎゅうぎゅう…
(実は上半分が外れることを知らずに頑張って詰め込んでいます。)
入りました!
ジョイント部が少し窮屈ですが、スポンジだから大丈夫です。
完成です!
AKG純正のあの密度のないスポンジとの違いは分かりませんが、大きな差があるとは思えません。
そしてこれだけでは終われません。
K701で叶えられなかった、ケーブル着脱式へ改造です。
ジャックの取り付け加工をします。
K701より内部が狭く、無理な話でした。
でもリケーブルはしたいです。
このMOGAMI 2799使いましょう。
セレクター作りで余った線材ですね。
ふと、考えます。
黒いヘッドホンにグレーのケーブルは合わない。
黒色のケーブルに替える事を考えた結果、ケーブルに編組スリーブを装着することにします。
MOGAMI 2799は外径:3.2mmですので、3mmのスリーブを用意します。
500円でこれを買いました。
今は価格が変わっていましたので別のものが良いと思います。
ケーブルは1.5mに切り、スリーブは少し長めにして装着します。
作業中の写真が撮れないほど大変でした。
最初入れるのにコツが要りますね。
入れば一生懸命ぎゅうぎゅう、にぎにぎ押し込んでいました。
ブッシュからケーブルを抜きます。。
先が融着して固定しているので削り取ります。
出口部分を熱で溶かして、同じく融着させておきます。
MOGAMI 2799は4芯なので配線を考え直します。
結局、純正と同じ方法で配線します。
赤はL+、黒はL-に、それぞれ直結します。
熱収縮チューブで絶縁しておきます。
青はR+へ、透明はR-へ。
こちらもしっかり絶縁しておきます。
配線完了です。
最後にプレートを接着剤で付けます。
これで本体側は終わりですね。
機器への接続側は、もちろんL字型のプラグを付けます。
「NEUTRIK NTP3RC-B」 550円
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/56279/
GND共通にするため、黒と透明は同じところに付けてしまいます。
スリーブで太くなったケーブルですが、問題なく装着できました。
完成です!
K240MKII用のベロアのイヤーパッドも注文していましたが、大雪で届かないので後回しにします。
ではでは試聴しましょう。
素晴らしい!
今まで聴いていたのはK240Mではなかったのです。
高音はAKGらしい透き通った音が出ます。
中音は少し前に出てきます。
こもった音ではなく、締まりのある音です。
中音が強いのは、昔のオーディオ機器という感じで時代を感じます。
低音は一切主張しません。
不足しているわけではないです。
これはK240Sでも同じですね。
特に素晴らしいと思ったのは定位と音抜けの良さです。
その定位の良さから、タム回しやツリーチャイムを左右にパンを振る楽曲を聞くと、おおっ!と声に出てしまうほどです。
音ヌケの良さは高インピーダンスの影響か、低音を抑えているから、はたまたリケーブルか、カームフレックスの効果は分かりませんが、音の一つ一つが埋もれることがなく、キレイに聞こえます。
音場が広くても、散らかることもなくしっかり聞こえます。
素直な音がなってくれるので、曲作りをした人がこう聞かせたかったんだろうな…と、実感できます。
なぜK240はベストセラーになったか、このヘッドホンの良さに触れることが出来たのではないでしょうか?
今セレクターには、カスタムしたソニー MDR-1A、AKG K701、K240そしてK550が接続されています。
三戦目のK550は遂にあの野望を果たすことが出来ました。