2023年5月12日、SONYから新型のヘッドホンがリリースされました。
『MDR-MV1』
SONY初めての開放型モニターヘッドホンです。
公式プロモーションを見ると、これは凄そうなヘッドホンが出るな…と思い予約しました。
ソニーストアでは入荷待ちの状態ということなので、発売日に届くヨドバシカメラにて購入しました。
問題なく発売日当日に届いたのでさっそくレビューしていきましょう。
平べったくて小さなパッケージにいつものソニーデザインですね。
裏は仕様と同梱物の説明だけのシンプルなデザインです。
包みの中からヘッドホン本体が出てきました。
本体の下にはアクセサリーと保証書が入っています。
ケーブルを見てみましょう。
ケーブルは2.5m、線経が太くてズッシリと重いです。
ヘッドホン側が3.5mm4極プラグでロック機構になっています。
プラグカバーが上下し回転します。
機器側へは6.35mmのステレオプラグです。
SONYのロゴがとてもかっこいいです。
また、アダプターを使って3.5mmステレオミニプラグに変換できます。
6.35mmメスー3.5mmオスの変換アダプターです。
プレイヤーやアンプの出力端子がステレオミニプラグの場合は変換アダプターを使ってMDR-MV1と接続します。
こちらもしっかりした作りです。
以上が内容物の全てです。
持ち運びを想定していないスタジオ用とはいえ、ヘッドホンケースが無いのはちょっと寂しいですね。
本体の細部を見ていきましょう。
この背面開放型音響構造でヘッドホン内部の反射音を低減します。
材質はアルミ製で高級感もあり丈夫そうです。
プラグを挿すジャック部を見ていきます。
ネジ山が付いたジャックが顔をを出しています。
奥までプラグを挿し込みます。
あとはプラグのボディを回していくとネジが締りロックされます。
ですが、筆者はロックしていません。
ケーブルを何かに引っ掛けた場合、ジャックやプラグへのダメージが大きいと思います。
たまにヘッドホンが空に飛んでいきます。
であれば、衝撃でプラグが抜けてくれたほうが安心します。
もちろんロックあり・なしで音質は変わりません。
ジャック周辺のスペースは広く取られているので、大きいボディのプラグでも問題なく挿入できます。
根本が段差付きのプラグでなくても装着できます。
むしろ、段差のないプラグだと綺麗に収まって見栄えがいいです。
具体的にはAmphenolのプラグでもリケーブル可能です。
ロック無しでもプラグは簡単に抜けません。
ピンアサインです。
3.5mm4極で先端からL+R+R-L-です。
MDR-M1ST等のバランスケーブルを使い回せるとのことです。
スライダーとアーム部分です。
スライダー部はMDR-CD900ST、MDR-7506のデザインが継承されています。
特にprofessionalの文字は7506を彷彿とさせますね。
そしてアーム部分は丈夫で、簡単に折れたりすることはなさそうです。
イヤーパッドも素晴らしいですね。
スウェード調の生地で触り心地がよく、厚みがあり柔らかいです。
つけ心地がよくフィット感に優れていました。
ヘッドバンドは厚みのある無地のレザーで高級感があります。
また、内側はクッション性もあり、頭が痛くなることもありません。
重量は220gでメーカー公表値より3g軽かったです。
細部まで線密に作り込まれています。
また難しい構造も見当たらず、部品交換も簡単そうです。
側圧も丁度よく、長時間装着しても問題ありませんでした。
何より約220gで軽くて疲れないのが嬉しいです。
また、筆者の大きい頭でもスライダーを伸ばし切ることなく余裕がありました。
MDR-MV1は40mmの新型ダイナミックドライバーを搭載しています。
感度:100dB/mW
インピーダンス:24 Ω
周波数帯域:5Hz-80kHz(ハイレゾ対応)
【使用環境】
TOPPING E30(AK4493)+L30
付属ケーブル SE接続
エージングは10時間ほどです。
まずは音場から。
一聴すると、広すぎる音場に驚きます。
目の前へ、首元へ、後頭部へ音が広がり響き渡ります。
各パート、色々な位置で演奏していますが、定位感が抜群なので一体となってしっかりとまとまります。
この空間表現はMDR-MV1にしかできないでしょう。
SONYが本気で開放型を作ったらこうなります、とMDR-MV1から伝わってくるようです。
全体的にフラットで、若干低音域が増した質量差でバランスが良く聴きやすいです。
SONY従来のモニター用ヘッドホンではありません。
どちらかといえばウォーム寄りだと思いました。
SONY色がスパイスとして味付けされています。
高音域は強くなく、全体に比べると質量は少ないです。
音質は硬めで突き抜けていく音です。
他のヘッドホンでは高音がキツイ楽曲でもMDR-MV1では刺さることはないと思います。
滑らかな音で厚みがあります。
少し暗めの印象です。
十分ではありますが、人によっては解像度感、明瞭感が欲しいと思うかもしれません。
楽曲のジャンルに不得意はなく、なんでもそつなく鳴らせます。
深みのある低音が腰を据えています。
迫力があり、キレもあるので速い曲でも十分ついてきます。
アンプやDACについて
DACを交換するとMDR-MV1にどのような音質変化をもたらすのでしょうか。
【使用環境】
aune audio X1sGT(ES9038Q2M)
付属ケーブル SE接続
やはり上流の影響を受けやすいです。
音がダイナミックになり力強さが増します。
高音域は少しおとなしくなる印象です。
モニターライクな音に近づきます。
少し暗い音質のMDR-MV1にはAKのDACが合うかと思いましたが、ESの方が好印象でした。
【使用環境】
Steinberg UR22C
付属ケーブル SE接続
音質はフラットに近づき、少し硬めに無機質に。
SONYらしい音も薄れます。
ですが、MDR-CD900STの代わりにはなりません。
【使用環境】
SHANLING UA2
付属ケーブル+変換アダプター SE接続
スティック型ドングルUSBDACではどうでしょう。
しっかり鳴らせていますが、中高音域が若干ピーキーな印象で高音域も刺さり気味に。
頑張れば鳴らし続けられますが、スマホ等の充電を考えるとあまり現実的ではありませんね。
据え置きアンプやポータブルアンプを使用しましょう。
バランス接続について
aune audio X1sGTを使用してバランス接続を試します。
MOGAMI2893、NOBUNAGA Labs 3.5mm4極 4.4mm5極プラグの自作ケーブルです。
その違いに驚きます。
中音域がクリアになり解像度感も良くなり、元気に力強くなった音色は明るくなりました。
SE接続で感じたネガティブな印象はなくなります。
ただし、少し明るくなりすぎると感じるかもしれません。
また、聴き疲れもしそうな音色です。
SE接続、バランス接続にするかは好みですね。
筆者は長い純正付属ケーブルが邪魔で音も暗くなってしまうので、1.5mのMOGAMI2893で自作したケーブルを使っています。
このケーブルでSE接続をすると、明るさ、解像度がちょうど良く筆者好みの音質になります。
360 Reality Audioについて
360 Reality Audioに対応しているということで対応楽曲を聴いてみました。
試聴してみた結果ですが、もちろん通常の楽曲よりは広いですが、筆者にはあまり違いを感じられませんでした。
こちらの動画では立体音響を感じ取れて面白かったです。
楽曲で360 Reality Audioを堪能できるのはもう少し先かもしれません。
MDR-MV1はサウンドクリエイター向けで、従来のモニターヘッドホンとは方向性が違います。
もちろんリスニング用でも広い空間表現を味合うことが出来る素晴らしいヘッドホンになっていました。
MDR-MV1の開発者達がどのように制作されたかインタビュー記事が載っています。
MDR-MV1の開発者や楽曲制作者の魂を感じられる、そんな一本です。
SONY 『MDR-MV1』をオススメします。
今後、何年も長く使えるヘッドホンになるでしょう。
価格は約59400円で発売中です。