MDR-CD900STはSONYから発売されたロングセラー商品でド定番のスタジオモニターヘッドホンです。
生産終了された今でもパーツが豊富に販売され、構造も単純なので修理やメンテナンスは簡単にできると思います。
ここに新品で購入するのとあまり変わらないお金を払い、ジャンク品をほぼ全バラにして組み立てたバカな男がいます。
MDR-CD900STの修理やメンテナンスにお役立ていただければ、きっと報われるでしょう。
最後にかかった費用を公開しますので目安にしてみて下さい。
ではTHE FIRST JUNKを始めましょう。
ベースとなるジャンク品の『MDR-CD900ST』がこちら。
ジャンク理由は「R側から音が出ない」です。
テストしたところR側から音は出ませんでした。
恐らく断線かと思いますが、ドライバーユニットが壊れていても簡単に購入して交換できます。
使用感もあるので修理と同時にメンテナンスもします。
Amphenol の金メッキプラグに交換されていますね。
プラグ交換が出来る知識や技術があるならば、断線くらい直せると思うのでドライバーユニットの故障が濃厚です。
まずは使える・使えないパーツを選別していきましょう。
ヘッドバンドです。
中古品やジャンクを買われる方はここをまず見て下さい。
文字が消えていたら状態は悪いと思って下さい。
加水分解が始まってベタベタになり、ポロポロと革が剥がれてきます。
交換する場合は一番高額になります。
このヘッドホンはというと、状態は悪いです。
加水分解でベタついています。
このベタつきを取ろうと拭くと革が剥がれてきます。
いっそ全部剥いでしまったほうがいいかもしれません。
次にイヤーパッドを外します。
引っ張れば簡単に外れます。
イヤーパッドはどのような状態でも交換します。
この黄ばんで汚れたものは前面レジスタです。
ウレタンリングもボロボロなので交換しちゃいましょう。
ネジを4本外して前面板をゆっくり外します。
配線を切らないようにゆっくり開けます。
ハウジングに詰まっている吸音材のミクロングラスも交換します。
左右開けましたが断線は見受けられません。
やはりドライバーユニットの故障でしょうか?
壊れていませんでした。
プラグ交換をしているのでケーブルも疑いましたが断線していませんでした。
とりあえず配線を外しちゃいましょう。
あとはもう拭きまくる拭きまくる。
エアダスターで振動板のホコリも飛ばします。
LR間の導通テストをしますが反応ありません。
断線箇所を見つけました。
とりあえず分解していきましょう。
ケーブルをハウジングから引き抜きます。
ハウジングはアームに力を入れて開けば簡単に外れます。
次にアームの裏のネジを外していきます。
ネジ1本で止まっていました。
ハンガーの中を配線が通っていましたが、ここで断線している可能性が高いですね。
次にスライダー部です。
古い機種なのでネジ1本で止まっている簡単な構造です。
ヘッドバンドです。
ネジの長さがココだけ違います。
ヘッドバンドからスライダーと鉄の芯を引き抜きます。
ここで配線も抜くことができます。
え?これ組み直すの?
鉄の芯に細めのケーブルをくくりつけてヘッドバンドに通せば戻せます。
大変ですが。
それに、ほら見て下さい…ヘッドバンドの革もハゲて持ち主と同じじゃないですか。
つまり何がいいたいかというと、なにかと理由をつけて組みたくないのです。
しかし、ヘッドバンドの価格は高いので迷ってしまいます。
一度外した部品を見てみましょう。
買いましょう!
前面板からドライバーユニットを外したら全バラです。
部品はキレイなものは残して、それ以外は全部買っちゃいましょう。
残ったのはハンガーとドライバーユニットだけでした。
あとは全て新品に交換します。
これは全部新しい部品に交換です。
サウンドハウスさんでポチッと…
はい!すぐに届きました。
これらを組んでいきます。
まずはヘッドバンドにハンガーを組んでいきます。
スライダーはヘッドバンドに組み込み済みなので、ハンガーからスタートです。
ケーブルをハンガーの中に押し込んでいきます。
ハンガーを組みました。
ケーブルは少しゆとりをもたせます。
前面板にレジスタを接着剤で貼ります。
2つの小さな穴は上にくるようにします。
続いてウレタンリングを貼りましょう。
両面テープを剥がして真ん中にペタッです。
ペタしたら真ん中だけ剥がします。
これで完成です。
ハウジングを装着します。
ハンガーがハウジングに入る部分にはシリコンスプレーを塗布しておきます。
装着する前に配線を通しておきます。
ハウジングを装着したら通しておいた配線をはんだ付けしましょう。
赤くマーキングされているのが+です。
ミクロングラスを入れて閉じます。
あとはイヤーパッドを装着して完成です。
左側も同じ要領で組んでいきましょう!
まずはマスキングテープを貼って傷がつかないようにします。
M7×P0.75の下穴のサイズは6.378~6.188です。
プラスチックは柔いので少し狭めに広げていきます。
少しずつ広げていきます。
垂直にタップを立てます。
先端が少しでも入れば下穴は十分です。
少し押しながら最短で真っ直ぐに一直線にネジ穴を切っていきます。
材がプラなので力加減が難しいです。
強く押すとネジ山が潰れます。
少し入れて少し戻しを繰り返します。
上手くいったでしょうか?
さっそくジャックを埋め込みます。
入りましたね。
これで接着剤やホットボンドを流し込まむ必要はないです。
少しヒビが入っているのでボンディックで補修しておきましょう。
穴の経はギリギリでこれ以上広げるのは無理です。
先にボンディックやレジンで表面を補強すると
良さそうです。
今回取り付けたジャックはMJ-079です。
M7×P0.75のタップでネジを切れば取り付けられます。
L側は先にケーブルをはんだ付けしておきます。
青はL+、白はL-で分かりやすくしておきます。
3.5mm4極プラグのケーブルを挿して、テスターでピンアサインを調べました。
MDR系のピンアサインにジャックを合わせています。
ケーブルによってピンアサインが変わってくるのでお気をつけ下さい。
アームに装着してR側の配線をしていきますが、作業スペースがかなり狭いです。
はんだごてがハウジングに触れると溶けてしまうので、気をつけて作業をします。
両面テープを使ってR側へのケーブルは留めておきます。
L側もはんだ付けします。
もう少し線を長くすれば楽ですね。
ミクロングラスは半分くらいまで1カット入れます。
ここにケーブルを通します。
閉じれば完成です。
イヤーパッドを付けます。
あら~良いんじゃないでしょうか?
バランス接続をして音楽を聞いてみましたが問題ありませんでした。
成功です!
音はMDR-CD900STの音です。
フラットでやや中音域が出る普通の音です。
ただし、これは私の環境なので、再生機器の音がそのまま素直に出ます。
音場も普通、音は真ん中に集まり定位は一定で良い。
普通の音なのですが、この普通が唯一無二。
バランス接続で聴くとESSの迫力のある音になります。
リスニング用には良いと思います。
モニター用としては間違いなくナシです。
で、大事なのはここからです。
これいくらかかったの?って話です。
まずはベースとなるジャンク品の値段です。
メルカリで3500円でした。
次に部品代です。
サウンドハウスさんで購入です。
ハウジングのLは手持ちであったので820円を加算します。
部品代は合計9020円です。
総額12520円でした。
SONY ( ソニー ) / MDR-CD900ST 密閉型スタジオモニターヘッドホン
そしてコレがサウンドハウスさんで販売しているMDR-CD900STの新品です。
これなら新品を買ったほうが…と、思いましたか?
ほぼ全バラにして組み立てたので完全マニュアルと言わなくても、修理・メンテにお役立ていただけると思います。
サウンドハウスさんでは部品のみで1台組み上げることができます。
夏休みの自由研究にいかがでしょうか?