SONY『WH-XB900N』電源の入らないワイヤレスヘッドホンを修理。

WH-XB900Nは、2019年5月にSONYから発売された、重低音に特化したEXTRA BASSシリーズのワイヤレスヘッドホンです。

電源が入らないというジャンク品を入手したので、修理してみます。

以前、電源が入らない「WH-CH700N」を修理した際は、バッテリー交換のみで直りました。

今回もバッテリーが消耗しているだけだと思います。

ええ、もう勝ち確なWH-XB900Nを見ていきましょう。

 

本体チェック①

早速、本体をチェックしていきます。

全体的に傷が少なく、外装は綺麗な状態です。

ヘッドパッドやイヤーパッドも、へたりや破れなどの目立ったダメージは見当たりません。

 

右ハウジングにはボタンやコネクタはなく、内部にはバッテリーが収納されていると思います。

左ハウジングには電源ボタンとCUSTOMボタン、3.5mmステレオミニジャックとUSBコネクタが備わっています。

電源ボタンを押しても反応はありませんでした。

3.5mmステレオミニジャックにケーブルを接続し、音楽を再生してみたところ、左右両方から問題なく音が聞こえました。

USBを挿してみると赤いLEDが点灯しました。

断線もなく、通電も確認できました。

まずはバッテリー交換をしてみましょう。

右ハウジング分解

イヤーパッドは引っ張るだけで外すことができました。

プロテクタは、5本のネジで固定されています。

ネジを外すと、プロテクタをハウジングから取り外すことができます。

 

作業にはいつも「ベッセルのビット」と「アネックスのハンドル」を組み合わせて使っています。

振動版にネジが吸い込まれるという振動版を殺す魔法<ゾルトラーク>を防ぐため、防御魔法<マスキングテープ>を展開します。

 

ドライバーユニットと内部基板が繋がっている配線があるので、プロテクタを取り外す際は、強く引っ張らないように気をつけます。

ハウジング内には、内部基板が1枚と…赤黒のリード線が繋がっている先にバッテリーが収納されていると思います。

 

まずはコネクタを外してバッテリーを分離させます。

バッテリーケースのネジを2本外しましたが着脱できませんでした。

基板の下にネジが隠れていると思うので、基板を外してしまいます。

 

基板を取り外すと、裏側にネジが隠れていました。

隠れていたネジを外せば、バッテリーケースの着脱が可能になりました。

バッテリー交換

Amazonで用意しておいたバッテリーと交換をします。

ケースからバッテリーを取り外します。

バッテリーは両面テープでケースに貼り付けられていました。

バッテリーを曲げたり、オープナーで傷をつけないように無水エタノールを接着面に少し垂らして差し込んでいきます。

爆発しないように慎重に作業します。

 

購入したWH-XB900N用のバッテリーと見比べてみますが、サイズやコネクタも同じだと思います。

このままケースに貼りつけてしまいます。

 

先ほどと逆の手順で、ハウジングを組み立てていきます。

充電後、異音や異常発熱がないことを確認します。

本体チェック②

しばらく充電したのでまずは本体の初期化をしてみます。

電源ボタンとCUSTOMボタンを同時に7秒間以上押したままにすると、青ランプが4回点滅して完了しました。

勝ちましたね!

次に電源を入れてみます。

ですが、ボタンを押しても電源が入りません…あぅ

7秒以上押し続けると、先ほどと同じく青ランプが4回点滅するものの、本体は起動しない状態です。

 

現象の原因を考えます。

電源ボタンを押すだけで初期化されてしまうことから、CUSTOMボタンが常に押された状態になっている可能性があります。

しかし、CUSTOMボタン単独では初期化は起こりませんでした。

考えられる原因は、ボタン自体の物理的な故障、内部基板に問題があるかもしれません。

反対側のハウジングも分解して見てみましょう。

左ハウジング分解

ハウジング内部は、ボタンやジャック類の入力用基板とメイン基板の二段構造になっていました。

まず、基板を外して押しボタンを確認しましたが、故障は見当たりませんでした。

次に、外した基板をチェックします。

 

基板の裏面にあるチップコンデンサー周辺には、白い汚れがこびりついていました。

さらに、フラットケーブルコネクタにも何か異物が詰まっているのが確認できました。

確認後、両箇所とも無水エタノールで清掃を行います。

 

綺麗になりました。 

チップコンデンサー周辺はわずかに白い跡が残っていますが、見た目には問題なさそうです。

コネクタ部分は黒く変色していますが、導通は正常に確認できました。

これで部品を元に戻して、動作確認をしてみましょう。

本体チェック③

電源ボタンを長押しすると「パワーオン」とアナウンスが流れて電源が入りました。

すぐにスマホとペアリングしてみます。

 

問題なく接続することができました。

ワイヤレスでの出音にも問題がないため、これで修理完了です。

原因としては、おそらくフラットケーブルコネクタの不具合が考えられます。

黒く見えていた部分は焦げており、電源ボタンとCUSTOMボタンの信号部分がショートしていた可能性もありますね。知らんけど。

直らなければSONYに基板を注文していたと思うので、負けはなかったですね。

外したバッテリーの電池容量は確認できませんでした。

音質チェック

せっかく直ったので音質についても少し。

冒頭でも触れたように、WH-XB900Nは2019年5月に発売されました。

世代的には、WH-1000XM3とWH-1000XM4の中間に位置します。

現在は、後継機種であるWH-XB910Nが発売されています。

 

SONYのアプリ「Headphones Connect」に対応しています。

もちろんコーデックはLDACに対応し、ノイズキャンセリング機能や外音コントロール機能も搭載しています。

 

 引用:SONY|WH-XB900N

重低音がウリのEXTRA BASSシリーズですが、 想像していたほど強烈な低音域だとは思いませんでした。

これには原因があって、最近KZばかり聴いていたので、耳がKZになっているからだと思います。

EQで低音を上げると、素直に 音圧が押し上げてきます。

音に余裕があり、特に洋楽は聴いていて心地良いです。

音の完成度で言えば、WH-1000XM3やWH-1000XM4の方が上だと思います。

その2機種に比べると音は粗いものの、ソニー独特のサウンド感は薄く、ダイレクトで力強い音質が特徴です。

自分の好みだけで言えば、WH-XB900Nも十分に魅力的な選択肢 だと思いました。

ノイズキャンセリングに関しては そこまで強力ではなく、完全な静寂を求めるには物足りないと感じました。

装着感はWH-1000XM3とほぼ同じでした。

 

ずっとイヤホンのレビューを書いていたので、ヘッドホンを触るのが楽しくて仕方ありませんでした。

あ!直った!と思った瞬間に、脳汁がドバァっと出るのですが、この感覚を味わうとジャンク修理はやめられないです。