AKG K702が断線して音が聞こえないとのことで、ジャンク品として格安で売られていました。
K702は所持していますが、出品されていたK702がオーストリア製だったので思わず購入してしまいました。
状態は全然見ていなかったでちょっとドキドキです。
さあ、見ていきましょう。
なにより箱付きなのが嬉しかったです。
イヤーパッドはもうジュクジュクに熟れています。
まずはヘッドバンド。
汚れてはいますが壊れていないので一安心です。
左右のハウジングです。
ロゴが消えかけていたり、ラバーループが伸びきっているのは致し方なしですね。
経年劣化はありますが気になる傷はありませんでした。
更に詳しく見ていくと…
ジャックがもげてる~~~~~~!!!
確かに断線ではありますが、ジャックはどこに行ったのでしょうか…
これが今回の故障原因でしょう…多分…いや、絶対。
熟れたイヤーパッドを外します。
内部のスポンジは溶けだしてこびり付いています。
ジャンク品を修理する際はゴム手袋をつけていますが、それでも触りたくないですね。
どこまで綺麗にできるか楽しみです。
キャップカバーはつまようじの束で外します。
硬く外れない時はシリコンスプレーを一吹きで解決です。
キャップ本体はネジをふたつを外せば着脱できます。
左のハウジングです。
ジャックは赤・黄・白・の3本で配線されていますね。
白い線がアーチ部分で短絡してあるので「黄→L+」「赤→R+」「白→LR-」だと思います。
右のハウジングはアーチ部分を伝ってドライバーユニットへと繋がっています。
中央の大きいネジと配線を外してヘッドバンド分離させてしまいましょう。
四の字になっているカバーを外します。
ハウジングを可動させる部品を外します。
ネジ4本で抑えてあります。
やっとドライバーユニットとご対面です。
特に固定されているわけではないので簡単に外せます。
ハウジングはこれで全てですね。
ジャックが有るか無いかの違いだけで、K701と同じ構造でした。
水洗いできるパーツは洗剤を使って洗います。
水洗いできないパーツです。
ドライバーユニットの振動版が傷ついています。
また、K701と同じものが使われていますね。
ヘッドバンドはゴシゴシと擦って清掃します。
右のハウジングを組み立てていきます。
内部配線は硬いテフロン線を使います。
世界一断線しているヘッドホンのシリーズだと思うので、しっかりとハンダ付けします。
さて、問題のジャック部分です。
どうせなら4Pinのジャックを使ってバランス対応にしてみましょう。
候補になるのはREANのRT4MPですね。(写真奥)
試しに装着してみるとピッタリです。
しかし、写真右の純正と比べると少し出ているのが気になります。
どうやら出っ張りがあって入りきらないみたいですね。
このままでもいいのですが…削って平らにしましょう。
鉄粉に耐える事30分。
リューターでの加工が終わりました。
頑張った甲斐があって、ジャックが綺麗に収まりました。
先に線材をハンダ付けします。
ジャック本体に接着剤を塗り、レジンで固めて固定します。
もう少し線を長くすればよかったと、後悔の涙を流しながらハンダ付けします。
はんだごてが部品に接触しプラスチックを溶かさないように気をつけます。
組み上げました。
何度もプラグを脱着しましたが、グラつくことはありませんでした。
音声の出力テストも問題ありませんでした。
最後にイヤーパッドを装着して完成です!
見た目も凄く綺麗になったと思います。
さて、バランス化したK702は音質は好みで張りがある良い音を出しています。
音の芯が太くなり、少しボリュームを絞ってもしっかりドライブしてくれます。
以前改造したK701のバランス化は、持ち味を消してあまり良い印象ではありませんでした。
今回のK702は好みの音になったので嬉しいです。