AKG『K240』ジャンクなヘッドホン三連戦②修理・分解編

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AKG K701の部品取りを求めて、オークションやフリマサイトを巡回してる時でした。

 

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K240が格安で売られているのに目が留まります。

ずいぶん安いな…と、ジャンク理由を見るとプラグの不良でした。

(リケーブルをすればばいいのに…)

これは買った人ラッキーだな、なんて思ってました。

 

私はK240 STUDIOを所持しています。

そして、特に問題なく機能しています。

さすがに2台も持つ必要ないので、K701探しに戻ろうと思いました。

同じヘッドホン買うやつなんてバカです。

 

しかし、このK240は何か違和感があるのです。

よく見るとK240 monitorと書かれているのです。

調べてみると、どうやらK240 monitorとは、K240 STUDIOの先代らしいのです。

だから似ているのかと、じっくり見ると「600OHM」の文字が…

ここまで高いインピーダンスのヘッドホンは、聴いたことがありませんでした。

DT990の250Ωが今までで一番高かったです。

これは聴いてみたい。

ですが、1つ懸念点がありました。

私が所持するヘッドホンアンプ「Topping L30」で、鳴るのかということです。

しかし、もしダメでも、安いので諦めが付きます。

そうさ!お昼ごはん2食我慢すればいい!ポチッ!!!!

 

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届いたK240MとK240Sを見比べます。

まず、一番の違いはケーブルが着脱式かという点。

そしてインピーダンスが600Ωか55Ωの違いですね。

同じシルエットで、細かい所が少し違うくらいです。

ヘッドホンに興味がない人は、同じものだと思うでしょう。

 

壊れているプラグを見てみましょう。

 

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あらら…えっちですね…ケーブルはもげて、端子は曲がっています。

K240Sならリケーブルすれば解決ですが、コレはそうはいきません。

 

安心してください。

修理できるチートスキルを持っていますので。

わたしの戦闘力は530000です。

 

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チョッキン!

そして新しい命を灯すのは────

サウンドハウスさんで買った「NEUTRIK NTP3RC-B」 550円

https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/56279/

 

はい、ケーブル作りの時に余分に買っておいたものです。

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それでは作業しましょう!

 

 

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はい!完成!

なんなく修理完了です。

最近の記事がこんな内容ばっかりなので、バッサリとカットしました。

大丈夫です、山場は後程やってきますので。

 

ささ、視聴しましょう。

ちゃんと鳴ってくれるのか。

 

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問題なく音量は取れるみたいです。

まだ余裕ありますね。

今度Topping L30、E30のレビューをしてみますね。

とても良い機材なので。

 

そして肝心の音質ですが…

 

最悪です。

聴けたものではないです。

 

音が遠く、ベールを10枚くらい被った様です。

定位も悪く、明瞭感のカケラもないです。

低音はポヨンポヨンパスパス。

中音はこもった音。

高音もキレイにならない。

物凄い落胆しました。

 

1985年にK240Mは発売されました。

当時の人は、こんな音に満足していたのでしょうか?

AKGの人たちは、こんな音を出したかったのでしょうか?

 

いや、違いますね。

このヘッドホンが何年に製造されたかは分かりませんが、きっとメンテナンスもされていないはずです。

何かしら汚れているでしょう。

出来ることは限られてますが、中を見てみましょう。

 

 

 

 

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この後とても汚い写真集合体恐怖症の方はヒィッとなる写真が出てきます。

苦手な方はご注意ください。

 

注意しましたからね?ではいきましょう。

 

恐らくK240Sとあまり変わらない分解方法だと思います。

まずはイヤーパッドを外していきましょう。

引っ張るだけです。

 

 

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あれ?なんか捲れてますよ?

剥がしてみましょう…

 

 

 

 

 

 

 

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ううううっゔぉゔぉゔぉゔぉv

なにかがベッタリ付着してます。

多分、汗やら何やらでスポンジが溶けちゃってますね。

 

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泣きながら落としていきます。

アルコールウェットと無水エタノールで消毒していきます。

中側はここまでみたいなので、反対側をバラしましょう。

 

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まずはハウジングに付いてる接着されたプレートを外します。

サイドのくぼみからピンセットの様なモノを差し込んで、無水エタノールを注入しながらだとすぐ剥がれます。

 

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何このブツブツ…

汚れを落としながらネジを外します。

ちょっと違うプラスネジが使われていました。

滑らないように回していきます。

 

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大事な部分のお目見えです。

少し割れているので、接着剤で補強します。

 

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右側のケーブルから黄がL+、赤がR+、白が-でした。
AKGお得意のヘッドバンドの鉄の支柱?で、反対へ流しています。

下の穴から出てる赤白の線はドライバーから来てる+-です。

-は支柱の部分で2本つけてGNDを共通にしてますね。

プラスは直結してますね。

大丈夫かなぁ…

 

プラスネジを外してヘッドバンドとカップを外します。

 

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ここで私は悶絶しました。

つぶつぶがたくさん入っているに見えました。

スポンジが加水分解で酷いことになっています。

 

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上下に動くジョイント部は、はめ込み式になっているのでヘラか何かで煽りながら外します。

 

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この小さいのはドライバーユニットでしょうか?

ツメを開きながら、ピンセットでいろいろな角度から煽りながら引き出しました。

 

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うわっ…

まぁ、そうですよね。

 

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綿棒でキレイにしていきます。

無水エタノールを染み込ませながら、優しく拭き上げます。

 

では、スポンジを排除します。

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私は泡を吹きながら除去していきました。

 

その後、R側も対峙していきます。

 

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配線は鉄柱にされてるだけですね。

 

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こちら側はまだ被害が少ないですね。

 

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紙以外は全て水洗いしました。

中性洗剤と歯ブラシを駆使してピカピカにしました。

 

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ヘッドバンドは消毒をしながら拭いていきます。

 

ここまで3日です。

 

組み上げていきましょう。

 

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ドライバーユニットはツメを広げて押し込みます。

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ジョイントの結合部分にシリコンスプレーを吹いておきます。

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このカップの裏には紙が敷いてあります。

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接着剤が取りきれていないですが、コレ以上取れません。

両面テープを少し貼ります。

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薄いフェルトのようなものを貼り付けます。

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両面テープか迷いましたが、貼った時にずらして位置を決めれるボンドにしました。

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ボンドの白い部分は透明に変わります。

張り付いたら、配線しちゃいましょう。

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剥き出しになってる部分は、熱収縮チューブで保護しておきます。

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イヤーパッドを付けて完成です!

音の変化はあるでしょうか?

試聴してみましょう。

 

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おおっ!K240Sのような音になった!

まず、ベール10枚は全て脱ぎましたね。

明瞭で透き通った音です。

AKGらしいキレイな高音が鳴ります。

中音もしっかり出てます。

ちょっとポコポコって感じです。

音場が広いです。

広いけど、広すぎて、定位が良くないです。

低音はスッと消えます。

 

要約すると。

キレイに鳴ってるけど、音に締りがないです。

 

原因は分かります。

あのスポンジを抜いたからでしょう。

ああ駄目だ。

…全然駄目だな。

なぜ、k240がベストセラーになったか、その音の良さが全然分かってない。

 

さあ、中に入っていたスポンジを探しに行きましょう。